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エルフェンリート 研究論文・作品論

 仙人

LILIUM

アニメ『エルフェンリート』のオープニングの歌詞は、ラテン語である。ラテン語による主題歌は、アニメ史上初めてである(注1)。この主題歌には二つのバージョンがあり、オープニングに使われているのは、以下の短いバージョンである。もう一つは、長いバージョンで日本語版のDVDのメニューに使われている。


ショート・バージョン(アニメのオープニング・バージョン)

Os iusti meditabitur sapientiam,
Et lingua eius loquetur indicium.

Beatus vir qui suffert tentationem,
Quoniqm cum probates fuerit accipient coronam vitae.

Kyrie, ignis divine, eleison.

O quam sancta, quam serena,
quam benigma, quam amoena
O castitatis lilium


ロング・バージョン(DVDのメニュー・バージョン)

Os iusti meditabitur sapientiam,
Et lingua eius loquetur indicium.

Beatus vir qui suffert tentationem,
Quoniqm cum probates fuerit accipient coronam vitae.

Kyrie, fons bonitatis
Kyrie, ignis divine, eleison.

O quam sancta, quam serena,
quam benigma, quam amoena esse Virgo creditur.
O quam sancta, quam serena,
quam benigma, quam amoena
O castitatis lilium


問題は、このラテン語文の意味であるが、以下に『エルフェンリート』の北米版に字幕として出ている英訳を掲載する。

The mouth of the just shall meditate wisdom
And his tongue shall speak judgment
Blessed is the man that endureth temptation
For when he hath been proved, he shall received a crown of life
Lord, fire divine, have mercy
Oh how holy, how serene
How benign, how pleasant
Oh lily of purity


上記の英訳は、句読法等が一般に歌詞で使われてるものになっているので、これを普通の文章のものにし、かつ、"oh"のつづりを正式なものに変換すると以下のようになる。

The mouth of the just shall meditate wisdom,
and his tongue shall speak judgment
Blessed is the man that endureth temptation,
for when he hath been proved, he shall received a crown of life.
Lord, fire divine, have mercy.
O how holy, how serene,
how benign, how pleasant,
O lily of purity.


ここで英語訳の方に注釈をつけよう。

the justはjust peopleの意であり、いわゆるtheに形容詞がついた形である。同様の例としては、the oldとかthe youngなどがある。the oldはold people、the youngはyoung peopleの意味になる。theはついているが、指すものを実際に具体的に限定しているわけではない。

fire divineはdivine fireの意味であり、divineがfireを後ろから修飾する。これは古い文体に特徴的に見られる。

endurethはendures、つまりendureの単純相現在時制における三人称単数形の古い語形である。

hathはhasと同じで、古い語形である。

ちなみに、"oh"は"O"のように、hを取り、大文字で書くべきである。"oh"と"O"は、元々異なり、前者は、驚いた時などに発する感嘆詞であり、後者は、神への呼びかけに使う感嘆詞である。現代では"O"を"oh"と書くことが珍しくはないが、それは非形式的な用法であり、この様な古い文体で書いた場合は、"O"とつづるべきである。


注1:『エルフェンリート』以前では、『NOIR』(ノワール)の挿入歌にラテン語の歌詞の曲がある。但し、主題歌では、『エルフェンリート』が最初と考えられる。


今日は以上で。続きはまたね。by 仙人

「ところで、日本語訳は?」と言われる方もいると思います。
実は、ラテン語関係の参考文献を探索中で・・・。(^ ^;;;
行方不明なんですよ。
あと、今ちょっと忙しいので。
そういうわけで、ここを時々のぞいて下さい。(トップページにもぜひどうぞ)
お急ぎの方は、上の英訳が直訳になりますので、英語の訳文をよく読んで下さい。
DVD第1巻の特別版に付属している冊子(?)に掲載の日本語訳は、意訳になります。
と言うか、思いっきり意訳です。

じゃあ、またね。 by 仙人 (2005年6月3日)


このページ、中途で止まっていますが、実はまだラテン語関係の本の探索ができていないためです。
あまり長い間止まってしまったので、続きをどうしようかと思っています。
LILIUMを放置しておいて、議論を先に進めてもいいのですが・・・。
by 仙人 (2006年4月30日)


長らくお待たせしました。ずいぶん遅れてしまいましたが、ラテン語関係の本が出てきました。
今はちょっと忙しすぎるので無理ですが、時間が取れたら、更新します。
by 仙人 (2007年7月10日)


ところで、歌手ですが、オペラ歌手の野間久美子さんだそうです。
新進のソプラノ歌手というだけで、どういう人なのか全然わからないです。(^ ^;;;
まあ、本題とは関係がないので、この件はこれぐらいで。
by 仙人 (2008年1月23日)


2005年5月23日 初稿
2006年5月5日 推敲(「テーマソング」を「主題歌」に変更)
2008年1月23日 注1を追加
2008年2月3日 このページを読む前の注意書きを増補


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